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セルアニメの撮影技法

カメラスタンド

撮影(線画)台 Camera stand

概要

  • 左が撮影台のモデルです。
  • 振動でぶれないように地面にしっかりと固定された台があり、そこから支柱が伸び、カメラを固定しています。
  • カメラは下向きに設置されます。支柱の高さは2メートル以上あるので天井を充分高くとる必要がありました。
  • カーキ色の部分が画板で、背景やBookを画鋲で固定するために木で出来ています。それ以外は金属製です。
  • 左右からライトで線画台を照らします。ライトの照射方向であればセル傷が目立たないので、セルは必ず左右に拭いていました。

カメラ・ワーク

上下移動

  • T.U T.B の動きです。
  • レンズのズームはほとんど使いません。
  • フレームサイズはデジタル撮影ほど自由度が無く、20~240frが基本です。

線画台の左右移動

  • 線画台は何枚かの板に別れていて、別々に移動することが出来ます。
  • Pan / Follow / Slide の基本セッティングです。
  • それぞれの板にBookを留めると密着マルチになります。

  • 線画台全体を前後左右に移動することも出来ます。
  • セルを固定しているタップは線画台には固定されていないのでカメラ前で止まったままです。

線画台の回転

  • アニメスタンドではカメラを回転させることが出来ないので、撮影対象を回転させます。
  • 斜めのFollow やPanも回転と組み合わせて撮影します。

タップの移動

  • セルを固定するタップも前後左右に動かすことが出来ます。移動幅が小さいのでローリングなどで使われます。
  • このタップは横から見るとL字型をしているのでLタップとも呼ばれます。

マルチ・プレーン(マルチ)

multi01.gif

  • 撮影素材に段差を付けて撮影する手法。
  • 上下に絵が離れているのでピンぼけの絵(立体感)を作ることが出来きます。しかし台のセッティングやマルチ用素材の準備など非常に手間がかかるので、TVシリーズでは殆ど使われません。
  • その代わりに多用されたのが素材の引きスピードだけを変えてマルチの効果を狙った密着マルチです。

ゴンドラ

  • これも多段撮影ですが上段の絵がレンズ前にぶら下がるのでゴンドラと呼ばれたようです。カメラと上段の素材の距離を変えずに下段に対してTU TBをすることが出来ます。
  • ライトもカメラと一緒に移動します。

透過光

  • 線画台の板を外して、下からカメラに向かって光を当てます。
  • セルと背景の代わりに透過光マスク(黒い紙に一部分穴を開けた素材)を置きます。
  • レンズにフィルターをかけて光に色を付けたり、にじませたり、クロスに光らせたりします。

0.125mmの謎

CamStandGear.jpg

  • 背景やBookの引きスピードが 2.125mm とか 0.375mm という1/1000mm単位で指定されていることがあります。
  • なんだこりゃ?と思った人もいるでしょう。その訳は撮影台にあります。
  • 線画台の板の移動は図のようにハンドルで制御します。
  • このハンドルを1回転すると板が[ 2mm ]動くようになっています。ですから2mm以下の移動はハンドルの微妙な角度でコントロールしたそうです。(補助目盛などは使ったそうです。)
  • 回転角と移動幅の関係は左表の通りで、分数で割り切れる数だと、比較的撮影がしやすかったそうです。
  • 追記:撮影台の規格にはミリではなくて、インチ単位のモノもありました。この台の場合はハンドルの1回転で1/10インチ=2.54mmの移動幅になります。ハンドルには1回転で10カウントのカウンターが付いていて、その1目盛が約0.25ミリで、さらにその半目盛=約0.125mmを最小幅としていたという理由もあるそうです。(PONさんにご指摘頂きました。)
  • ミリにしてもインチにしても0.125mmの倍数が演出、作画、撮影が扱いやすい値だったので使われたようです。
  • デジタル化した現在では何の根拠もない数字ですが、アナログ時代からの作画、演出のスタッフは感覚的に覚えているので使いやすい数字なのです。

ちなみにセル1枚の厚さも0.125mm!

DSC04571.jpgこれは4:3 テレビ用セル。